「……気持ちいいか?」 見上げてくるアリオスの瞳。 それは意外にもとても柔らかな色をしていた。 「……うん」 だから、恥ずかしいけど素直になれる。 頷くと、アリオスは本当に嬉しそうに笑った。 その笑顔がとても綺麗で。 心の枷がぱちんと弾ける。
自分が随分淫らな格好をしていることは知っていた。 まだ明るいのに全裸で、アリオスの前に脚を拡げて、その中心に アリオスが顔を埋めている。 「アリオスッ! あっ…ああっ…」 のけ反り跳ねる躰を、アリオスは背中に回した片手で支えてくれる。 その手がとても暖かい。 「あ…んん……は…うん…」 堪らず、アリオスの柔らかな銀の髪に指を絡めると、アリオスが 目だけを上げて微笑んだ。 だから…。 「あっ…あっ…あっ…」 だから。 抑えようとは思わなかった。 ――これが…私だ……。 めくるめく快楽に溺れつつ、頭の片隅でそう思った。
アリオスは、一度唇を離すと指を舐めて、アンジェリークの胎内 に入れた――1本だけ。 「あうん……」 びくっと躰を震わせて、頭の後ろに回ったアンジェリークの手に 力が入った。 もっと引き寄せて欲しくて、指を胎内に入れたまま、硬くしこっ た蕾に口づける。唇だけで支えてすぼめた舌先でつんつん突くと、 アンジェリークの腰ががくがくと揺れた。 胎内に挿入れた一本の指を、円を描くように回して僅かに奥襞を 撫でる。ぎゅう…と締めつけられると同時にどっと蜜が溢れ出て きた。 「あんっ! ア、アリオスッ! アリオスッ!!」 目をあげると、アンジェリークは目線を受けて、ふるふると首を 振る。 「も…もう、だめ…」 と、限界を訴えた。 ――いい顔してるぜ…。 こんなに可愛く乱れるアンジェリークを、もっともっと愉しみ たい。 「だめだ。もう少し、我慢しろ」 挿入れてる指を蠢かしつつ、花びらの周囲を指の腹で撫でてやる。 もちろん、蕾は口の中。 「やっ…あんっ…だ、だめっ、も、…本当にだめなのっ! おねがいっ! ア、アリオスッ!!」 アンジェリークが悲鳴をあげた。 珍しくおねだりするアンジェリークがめちゃくちゃ可愛い。 どうせなら、もっと乱れさせてせがませたくなる。 ――さて…と、どうするか? そうしてアリオスは『いいこと』を思いついて笑んだ。
「俺の上に乗ってみろよ」 「え?」 蕩けた頭で少しだけ考えて、そうしてアンジェリークの頬がもっと 染まる。 「俺の上で感じるおまえを見てぇんだ」 そう言って笑むアリオスに胸がきゅんと締めつけられる。 拒めなくなる。 「……うん」 頷いたアンジェリークに、アリオスはそれは嬉しそうに笑って、 頬にキスをくれた。
「あ…う…」 支えてくれる手に導かれ、ゆっくりと腰を落とす。 熱の隠った剛直にじわっとそこが押し拡げられ、ゆっくりと挿入っ てくる。彼の存在を誇示され、下腹が疼く。 「ふ、ぅ…んん…」 根元まで全て受け入れて、そうすると自分のそこが大きく拡がる。 熱く太く硬いアリオスに貫かれた感覚に、それだけで達しそうに なった。 「ほら、好きに動いてみろよ」 すかさず、繋がった部分を馴染ますようにアリオスが腰を動かす ものだから 「あんっ!」 鋭い電流が下腹から背骨に向けて走る。 見下ろすと、アリオスはあの金と緑の瞳を細めて笑っていた。 「す、好きにって…」 「おまえが感じるように動けばいい。おまえが感じれば俺も気持ち いいぜ」 すっと伸ばされた指先が、硬くしこった乳首を掠める。 「あうんっ…」 「そうだ、アンジェ。俺の上で、俺を感じて、乱れて鳴けよ」
昼下がりの陽光を背に受け、薄紅に色づいたアンジェリークの白 い肌が輝いている。 大地の色した髪が肌に乱れる。 揺れる双球の頂は、応えた証拠の色づいた蕾。 「あ…あっ…はぁ…ア、アリオスッ!」 時にのけ反り、時にしがみつく柔らかな躰。途切れることなく 揺れ続ける腰。 「…いい感じだぜ、アンジェ」 白い果実の頂と、柔草の中と、二つの蕾に指を添わせる。 「あんっ…や…だ、だめっ」 途端にぎゅう…と締めつけられる。 「感じてんだな、アンジェ。可愛いぜ」 くねらせた腰の動きを手助けして、下から軽く突き上げる。 「あうっ…も…だ、だめ! だめなのっ!」 「いいぜ。イケよ」 薄く見開いた青緑の瞳は煙るように濡れている。 「見ててやるから、俺の上でイっちまえ」 「あっ…あん…ああんっ…」 促し手助けるように動くと、アンジェリークはのけ反って白い咽 を見せた。 「はぁ…あああ…ん…だ、だめっ…も、もうっ…あうっ」 たわめた眉。染まる頬。 絶え間なく動く腰。濡れた音が淫らに響く。 「あんっ…い……いっちゃう…アリオスッ!!」 自分の名を呼び、恍惚の表情で達するアンジェリークの全てを、 アリオスは目に焼き付ける。 ――綺麗だ…ほんとうに……。 ぎゅう、ぬめった温かで柔らかな肉襞に締めつけられ、アリオス も達しそうになるのを息を詰めてやりすごす。 「あ…はぁ……」 落ちてくる、汗に濡れた華奢な躰――アリオスの愛しい大切な 宝物――を、アリオスは腕を拡げて受け止めた。
「ふ…うん…」 乱れた呼吸を調えるために、大きく息を吸って吐いて。 その間中、アリオスは髪を撫でていて。 ようやく整った呼吸にアンジェリークが目を上げると、それに 応えて一つ額に口づける。 「すげぇ、可愛かったぜ、アンジェ」 率直な褒め言葉と、それは嬉しげなアリオスの笑顔に、アンジェ リークは何も返せず真っ赤になって逞しい胸に顔を埋め込む。 だけどすぐに顔をあげて恋人を見つめ、問うように首を傾げた。 「くっ…ばーか」 くつくつ咽を鳴らせて笑うと、アリオスはくるっと体勢を変える。 「…あん」 アリオスの下に敷き込まれ、その体の重みを受け、繋がった部分 が先程とは違う角度に刺激される。 「ア…アリオス……ああ…」 「妙な心配するな。今度は俺もいくぜ」 包み込むように腕を回して抱きしめられて、こつんと額を合わせ てアリオスがのぞき込む。 その瞳はとても優しくて暖かで。 くつくつ可笑しそうに笑うと銀の髪がさらさら揺れた。
さっきいったばかりの躰は、少し休んだけに直ぐに火が点く。 「あん…んん…あ…あ…」 「…いいぜ、アンジェ」 耳に囁かれる低い声が、頭の芯を蕩けさせる。 ――なんて…気持ちいいんだろう…。 全身ののしかかるアリオスの躰の重みも。 回した腕に当たる、たくましい硬い筋肉も。 躰に受け入れた熱いものが、胎内で更に大きくたぎり。 その出し入れと共に、薄肉がこすれ合い、乱れた音を響かせる。 「はあ…んん…あっ…」 「ん? ここか?」 ズンッと当たった感覚に、アリオスが即座にそこにこすりつける。 「ここがいいんだろ?」 「う…あ…ん……い…いい…」 いい、なんていうのを飛び越している。 もうアリオスの首にしがみつくだけ。 「あうっ…アリオスッ!!」 「…ああ、…いいぜ…」 耳元に響いたアリオスの声は、今までと違って擦れて上ずってい る。その声に、もう蕩けて躰がばらばらになりそうだ。 「アリオス…あ…あ…あ…」 「…アンジェ…」 深く唇を吸われて、舌が絡まる。 躰の動きと舌の動きと同じリズムで揺さぶられる。 「んん……ん……ん」 全身、アリオスの旋律に包まれる。 「…いくぜ、アンジェ」 そう告げるアリオスに、アンジェリークはもう言葉では返せず、 ただしっかりと抱きつくだけしかできなかった。 指先に触れた濡れた汗。 強く抱きしめる硬い腕。 激しくなる息遣い。 アリオスしか感じ取れない。 感じたくない。 「は…あ…ああ…アリオス…」 頭が真っ白い閃光につつまれ、意識が周囲に溶け始める。 「…くっ…あ…アンジェッ!」 アリオスのイク声を意識の遠くに聴いた。 自分の中で膨れ上り、びくびくっとけいれんしたかと思うと、どっ と熱いもので満たされる。 「あ…あ…」 覚えているのはそこまでで、だけど、耳は 「……アンジェ……」 と、囁くアリオスの声を捕らえた――。
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